約 1,147,870 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/229.html
几帳面な使い魔-1 几帳面な使い魔-2 几帳面な使い魔-3 几帳面な使い魔-4 几帳面な使い魔-5 几帳面な使い魔-6 几帳面な使い魔-7 几帳面な使い魔-8 ジョジョ三大兄貴記念SS 几帳面な使い魔 記念SS
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/197.html
白銀と亀な使い魔-1 亀と白銀な使い魔-1 白銀と亀な使い魔-2 亀と白銀な使い魔-2 白銀と亀な使い魔-3 亀と白銀な使い魔-3 白銀と亀な使い魔-4 亀と白銀な使い魔-4 白銀と亀な使い魔-5 白銀と亀な使い魔-6 白銀と亀な使い魔-7 白銀と亀な使い魔-8 白銀と亀な使い魔-9 白銀と亀な使い魔-10 白銀と亀の使い魔-11 白銀と亀の使い魔-12 白銀と亀の使い魔-13 白銀と亀の使い魔-14 白銀と亀の使い魔-15 白銀と亀の使い魔-16 白銀と亀の使い魔-17 白銀と亀の使い魔-18 白銀と亀の使い魔-19 白銀と亀の使い魔-20 白銀と亀の使い魔-21 白銀と亀な使い魔外伝 『亀ナレフは平凡無事に憧れる』 亀ナレフは平凡無事に憧れる-1
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/77.html
契約! クールでタフな使い魔! その① 「あんた誰?」 日本とは思えないほど澄んだ青空の下、 染めたものとは思えない鮮やかなピンクの髪の少女が彼を覗き込んでいた。 黒いマントをまとい手には杖。まるで魔法使いのような格好だ。 いぶかしげに自分を見つめるその表情に敵意の色はない。 だから、とりあえず周囲を見回した。 ピンクの髪の女と同じ服装をした若者達が囲むように立っていた。 共通する事は全員日本人ではない事。欧米人が多いようだ。 するとここは…………ヨーロッパのどこかだろうか? なぜ、自分はこんな所にいる。 そう疑問に思ってから、ようやく自分が草原の中に仰向けに倒れていると気づいた。 ヨーロッパを舞台にした映画に出てくるようなお城まで遠くに建っている。 「…………」 事態がいまいち飲み込めず、しかし警戒心を強めながら彼はゆっくりと起き上がった。 少女は、男が自分よりうんと背が高く肩幅も広い事でわずかにたじろぐ。 「……ちょ、ちょっと! あんたは誰かって訊いてるのよ! 名乗りなさい!」 「やれやれ……人に名前を訊ねる時は、まず自分から名乗るもんだぜ」 「へ、平民の分際で……ななな、何て口の利き方!?」 少女が顔を赤くして怒り出すのとほぼ同時に、周囲に群がっている連中は笑い出した。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 誰かが言う。笑いがいっそう沸き立ち、少女は鈴のようによく通る声で怒鳴った。 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」 どうやら、この少女の名前はルイズというらしい。 ルイズ……名前から察するにフランス人だろうか。という事はここはフランス? となると、この訳の解らない状況にも説明がつくような気がしてきた。 あのトラブルメーカーの友人が関係しているかもしれない。それはさすがに被害妄想か。 (しかし……スタンド攻撃にしては妙だ。 俺をここに瞬間移動させたのはこのルイズという女らしい……。 だが周りにいる奴等の言動を見ると、どうにもスッキリしねぇ) とりあえず彼は、一番近くにいるルイズを見下ろして訊ねた。 「おい、ここはどこだ。フランスか?」 「フランス? どこの田舎よ。それに使い魔の分際で何よその態度は」 「使い魔……?」 先程聞いた『サモン・サーヴァント』という単語を思い出す。 そして、見渡してみれば黒いマントの少年少女達の近くには、様々な動物の姿があった。 モグラであったり、カエルであったり、巨大なトカゲであったり、青いドラゴンであったり。 「………………」 ドラゴン? 集団から少し離れた所で、髪が青く一際年齢の低そうな少女がドラゴンの身体を背もたれに読書をしている。 ファンタジーやメルヘンでなければありえない光景だ。 もし、これが夢や幻でないとしたら、つまり……現実に存在するファンタジーといったところか? 約五十日ほどの旅でつちかった奇妙な冒険のおかげで、非現実的な事に対する耐性ができたというか、 そういうものを柔軟に受け入れ理解し対処する能力を磨いた彼は、 持ち前の冷静さと優れた判断力のおかげもあって取り乱すような事はなかった。 周囲をキョロキョロ見回している平民の姿に腹を立てたルイズはというと、 教師のコルベールに召喚のやり直しを要求していた。しかしあえなく却下される。 「どうしてですか!」 「二年生に進級する際、君達は『使い魔』を召喚する。 それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、専門課程へ進むんだ。 一度呼び出した『使い魔』は変更する事はできない。 何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ」 「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いた事がありません!」 ルイズとコルベールの会話をしっかり聞いていた彼は、ある仮説を立てる。 つまり自分はルイズの能力によって、元いた場所からここに『召喚』された。 そしてそれは周囲にいる全員が行っているようであり、スタンド能力ではなさそうだという事。 さらにここはドラゴンがいる事からヨーロッパどころではなく、 ファンタジーやメルヘンの世界だという……突飛で奇抜で冗談のような話。 『召喚』されるのは本来――動物やあのドラゴンのような神話の生物等であり、人間ではない。 しかし彼女ルイズは人間を『召喚』してしまった。 『召喚』された生物は、『召喚』した人間の『使い魔』であるらしい。 『使い魔』という単語からだいたいどのようなものかは想像できる。 (俺が……この女の使い魔だと? やれやれ、冗談きついぜ) とにかく、彼にとって今必要なのは現状把握をするための情報だ。 話をするのに一番適しているのは……少年少女達を指導しているらしいハゲ頭の中年。 さっそく彼に声をかけようとしたところで、彼と話をしていたルイズがこちらを向いた。 ルイズは自分が召喚した平民を見た。 身長は190サントはあろうか、黒いコートに黒い帽子をかぶっている。 顔は……なかなか男前だが、それ以上にとてつもない威圧感があって、怖い。 でも、自分が召喚したんだから。自分の使い魔なんだから。 だから、しなくちゃ。 「ね、ねえ。あんた、名前は?」 恐る恐るもう一度訊ねてみる。まただんまりかと思った矢先、男は帽子のつばに指を当てて答える。 「承太郎。空条承太郎だ」 「ジョー……クージョージョータロー? 変な名前ね」 本当に変な名前だった。聞いた事のない発音をする名前だ。 ルイズは彼の奇妙な名前を頭の中で暗唱しながら、彼に歩み寄り、眼前に立つ。 そして彼の顔を見上げて、届かないと思った。承太郎は鋭い双眸で自分を見下ろしている。 やる、やってやる。こうなったらもうヤケだ。 ルイズは、ピョンとジャンプして承太郎の両肩に手をかけて自分の身体を引っ張り上げ――。 CHU! 一瞬だけ、ついばむようなキス。 さっきから鉄面皮を崩さない承太郎もこの行動には驚いたようで、目を丸くしている。 ストン、とルイズは着地した。ほんの一秒かそこらの出来事。 心臓がバクバクする。だだだだって、今のはファーストキスだったから。 頬が熱くなる。周囲の視線が気になる。 承太郎はどんな顔をしてるんだろうと思って、見上げて、ヒッと息を呑んだ。 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ なんだろう、これ。承太郎はただ立っているだけなのに、地響きが起きているような錯覚。 あまりのプレッシャーに、ルイズは思わず一歩後ずさり。 その瞬間、承太郎が叫んだ。 「いきなり何しやがる、このアマッ!」 「キャッ!」 重低音の怒鳴り声のあまりの迫力にルイズは尻餅をついた。 続いて、承太郎も膝をつく。左手の甲を右手で覆い隠しながら。 「グッ……ウゥ!? こ、これは……」 使い魔のルーン。 承太郎の左手に刻まれたものの正体を、ルイズは恐る恐る教えた。 こうして――ルイズは奇妙な服装をした奇妙な平民を己の使い魔としたのだった。 今日召喚された使い魔の中で一番クールでタフな使い魔がこの承太郎だとも知らずに。 目次 続く
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/353.html
ゼロの使い魔への道-1 『ギーシュ危機一髪 その1』 『ギーシュ危機一髪 その2』 『ギーシュ危機一髪 その3』 『キュルケ怒りの鉄拳 その1』 『キュルケ怒りの鉄拳 その2』 『キュルケ怒りの鉄拳 その3』 『燃えよドラゴンズ・ドリーム その1』 『燃えよドラゴンズ・ドリーム その2』
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2453.html
S.H.I.Tな使い魔-01 S.H.I.Tな使い魔-02 S.H.I.Tな使い魔-03 S.H.I.Tな使い魔-04 S.H.I.Tな使い魔-05 S.H.I.Tな使い魔-06 S.H.I.Tな使い魔-07 S.H.I.Tな使い魔-08 S.H.I.Tな使い魔-09 S.H.I.Tな使い魔-10 S.H.I.Tな使い魔-11 S.H.I.Tな使い魔-12 S.H.I.Tな使い魔-13 S.H.I.Tな使い魔-14 S.H.I.Tな使い魔-15 S.H.I.Tな使い魔-16 S.H.I.Tな使い魔-17 S.H.I.Tな使い魔-18 S.H.I.Tな使い魔-19 S.H.I.Tな使い魔-20 幕間1 S.H.I.Tな使い魔-21 S.H.I.Tな使い魔-22 S.H.I.Tな使い魔-23 S.H.I.Tな使い魔-24 S.H.I.Tな使い魔-25 S.H.I.Tな使い魔-26 S.H.I.Tな使い魔-27 S.H.I.Tな使い魔-28 S.H.I.Tな使い魔-29 S.H.I.Tな使い魔-30 S.H.I.Tな使い魔-31 S.H.I.Tな使い魔-32
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/517.html
究極の生命体とはッ! ひとつ 無敵なり! ふたつ 決して老いたりせず! みっつ 決して死ぬことはない! よっつ あらゆる生物の能力を兼ね備え しかも その能力を上回る! そして その形はギリシアの彫刻のように 美しさを基本形とする。 それが究極生物 アルティメットシング!! 深夜 自分の寝室で気持ちよくスースーと幸せそうに寝ていたルイズは 誰かの気配でぱちりと目が覚めた 普段は梃子でも魔法でも起きないルイズだが この日は違った なぜかはわからない まさに奇跡 「だ だれか いるのっ?」 何者かの気配でふと眼が覚めるルイズは小さく声を出した 気のせいであッてほしい生きた侵入者はいらない 死んだ幽霊はもっと嫌だけど 最近話題になっているという ある盗賊の噂を思い浮かべ びくっと緊張する いい男からの夜這いも考えたが 微熱のキュルケと同類にされるのは嫌なので 思考すら拒否 嫌なものは嫌である 寝巻きのまま メイジは肌身離さず持つようにと常に言われていた 杖を手元に引き寄せてえいと構えた 眼を凝らすが 闇で何も見えない まあ 暗闇だから当然といえば当然のことだが 自分はライトの共通魔法すら使えないのが いまさらながら思い返して とても悔しい さすがゼロなんていわないで 「・・・ワタシヲ コノへヨオンダ ムスメ世オ?」 突然誰かの声が語りかける その声は静かに だが 聴くものを畏怖させる響きを持つ ルイズにはよく聞き取れなかったけど 幽霊じゃないのはよかったけど 侵入者に代わりはナイ 部屋が暗くてよく見えない だが明らかに人影がある 窓の傍に確かにいるのだろうか 「シツモンにコタエろ むうス おが このカあズを ヨンダノカ?」 前と変わらぬ口調のまま 質問をくりかえす なぞの侵入者 有無をいわさない そのうえ聞き取りにくい 発音と文法がややおかしい 声がこわれたような感じだ 平民が神のように恐れるメイジなど歯牙にもかけない なぜかそんな印象すら感じさせる それが貴族としてプライドの高いルイズ様に カチンと来た なによコイツ ナマイキね 「いい度胸ね 貴族の寝室に 侵入するなんて よほどの命知らずか馬鹿だわ」 挑発するように言うが 無反応 一人で空気に語りかけているように思えた まるで間抜け ただの変な人だ 「コタエロ こカあズを スクイだしたのはおマエか?」 口調は変わらず そして静かに 声は質問を繰り返す 無駄無駄無駄と 聞こえたような 聞こえないような ルイズは不気味に感じた 「いっている意味がわからないわよ アンタどこの田舎もn・・」 言いかけて ふとあること思い出した 昼間の召還儀式 そして ただの岩・・まさかとは 思うけど・・考えられるのは一つ そう選択肢ルートは一つのみ 「アンタ・・・まさか あの岩とかいうんじゃないでしょうね?」 岩は生物になるなど 聞いたことも見たこともない 魔法生物で 似たような例はあるが 昼間みたのはどう考えてもただの岩だッた このルイズ様の眼をもってしても岩だった 「ンンン・・そのハンノウ やはりソウダナ お前がアノ声の娘カァァ」 それは体温と呼吸と音声から部屋を割り出し侵入した わずかに得た昼間の情報を 総合 分析 推理 検討 した上 今の反応で確信 やはりこの人間の娘が昼間 何かの手段で 宇宙空間からこの星へ導いたのだと 少なくとも波紋ではないことはたしかだとも 「だったら どうだというのよ?」 ゼロの胸を張り 強気に言うが 内心はガタガタ震えてる まるでネコが人食いトラに 喧嘩を売るような感覚だ そして勝率は限りなくゼロ 駄目よルイズ ゼロていうんじゃない ゼロは孤独で不吉な数字よ おまけに数えると えらくムカツクわ 「キョウミぶカァい ジツに キョウみい深いぞ ンンン」 なぜかご機嫌の様子で影はルイズにじりじりと近寄ってくる 杖を構えようとしたが 思わず焦って落としてしまう しまった 「ハモンとは違う・・・何かノ くうカン干渉の力か あレのカンカくハ」 落とした杖が 影の足元に 転がっていく それを拾うと 影はしげしげと眺めいじりだす 子供がはじめてみるおもちゃをいじくりまわすように その間 十秒 「こレが なニカの 力を使役するためのドウグ ダナ オマエの反応を見るかぎリィィィ」 その影はズバリと推理した ルイズのわずかな呼吸の乱れや動作も分析して 名探偵が真犯人を当てるように的確に 「か かえしなさいよっ」 ルイズは焦る 焦りまくる 杖はメイジの生命線 なぜかコイツはすご^く賢い それもとてつもなくヤバイことだとは 本能で理解できた コイツに少しでも情報を与えると パズルのピースを全てわかって埋めてしまうような感じだ 「お前達・・・メイジとカ言っていたな そウか お前達が この星の生態系の頂点・・支配者クァァァ」 そう 昼間拾ったのあらゆる音や動きでこの生命体は全てを理解していた 言語から文法までも 誰からも教わらずに 今話している言語もわずかな時間で体得したのだ 子供が馬に乗るコツを覚えたとたん スイスイと乗りこなせる要領というべきか やばい やばいわ・・コイツの学習能力は 化け物だ 「だが・・このカーズを導いたのは なんノ力」 突然 ぶつぶつと一人で思案を始めるカーズ ルイズは完全に取り残されている 「な なんなのよ コイツ・・」 岩かと思えば 生物 一人で語り 一人で問題解決していくコイツに戸惑うばかりのルイズ 言語もなぜか話すたびに正確な発音と文法になるのがまた怖い 自己学習修正しているのか 変わり者が多いメイジ にもこんな変な性格の人物はいない ルイズの知る限り 変わりはてた頭の教師は一人いるな あとスケベな学院長もいたか これはどうでもいい 「ルイズとかいう名前の人間・・・・このカーズに おまえの使い魔になれというんのか」 その一言はまさに ルイズを驚愕させた なんでそれをっ?名前も自己紹介もしないのに 眼の前の影は 用件 自分から 切り出したのだ さらに影はこちらに近寄っていく もう逃げられない距離だ 「どうした 答えよ ルイズやら このカーズと契約を結ぶのか」 もはや完全な文法と発音でしゃべりかけてくるカーズ その影は二つの月の光を浴びながら 明らかになる 神々しいまでの肉体美と威圧感 それはまさに太陽の化身 そして究極の生物 そして カーズはニヤニヤAAAAと笑みをうかべた ルイズの前に偉そうにドーンと立ちながら からかうように 遊ぶように 見下すように えらく楽しそうに これが お前の運命 だとヨォォОォォといわんばかりの表情を浮かべて BAAAAAAン!! と どこから聞こえそうな音をたてそうな感じで 「この究極生物 アルティメットシングと契約するかァァァァ!!?」 第二話 究極な使い魔 誕生 続く・・
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2464.html
前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 「ミス・ヴァリエール。罰としてあなたにはこの教室の片づけを命じます。もちろん、使い魔に手伝わせてはなりません。」 騒ぎに駆けつけたコルベール教師はルイズにそう命じた。 ミセス・シュヴルーズは完全に意識を失っていたし、生徒達は今にもルイズを吊るし上げんばかりだった。だからルイズに同情的なコルベールでもそうさせざるを得なかったのだ。 それから一時間。まだ片付けは終わる気配を見せない。 教卓はばらばらに吹き飛んでいたし、教壇にも大穴が開いて使い物にならない。黒板は真っ二つに折れて右側が地面に伏せられていた。 生徒達の机は、距離があったためばらばらにこそならなかったものの、あちこちにヒビが入ったり吹き飛んだりして、前二列は半壊状態。後で取り替えなくてはならない。 窓ガラスは一枚残らず吹き飛んでいる。剥げた塗装に吹き飛んだ照明、床一面の煤や埃etc。要するに教室を一つまるごとぶち壊してしまったのだ。片づけがそう簡単に終わるはずもない。 だからこそいきり立つ生徒達も溜飲を下げたのだが・・・。 ルイズは今、半分に千切れた黒板と格闘しているところである。その小さな体をいっぱいに使って、黒板を外に引きずり出そうとしている。 康一はそれを手伝うわけにもいかず、さりとて放っておくわけにもいかず。その様子を見ていることしかできないのだった。 「す、すごい爆発だったね!」 なんだか気まずい康一が話しかけた。 「あれを喰らったらどんな敵でもKOしちゃうよ!」 できるだけ明るい調子で言ったのだが、ルイズはこちらに振り向きもしない。 バツが悪くて康一は頬を掻いた。 「痛っ!!」ルイズが右手を押さえた。 「だ、大丈夫?」 康一が駆けつけると、ルイズの手からは血が滲み出していた。恐らく折れた断面を握ってしまったのだろう。 「怪我してるじゃないか!」 康一はルイズの手を取った。 「触らないでよ!!」 ルイズは康一の手を振り払った。 「その手じゃもう無理だって・・・。休もうよ。」 ルイズは手を押さえたまま、黙って首を振った。 「でも・・・大体、女の子一人でこんなのおわりっこないんだよなぁ~」 康一は途方にくれた。 「・・・成功するかもって・・・」 ルイズがぼそりとつぶやいた。 「え?」 「成功するかもって。今度こそ成功するかもって思ったのよ。」 ルイズはうつむいたままい言った。 「そ、そうだよ!誰だって失敗することくらいあるよ!あんまり気を落とさないで!」 康一は励ましたが、ルイズはぶんぶんと頭を横に振った。 「今まで、一回も魔法が成功したことなんてなかったのよ。小さい頃からそう。どれだけ試しても、爆発するばっかりでただ一度だって成功したことなんてなかったの・・・」 康一は息を呑んだ。 「わたし、小さいころは、大きくなったら魔法が使えるようになるんだって思ってたの。お父様やお母様の期待に答えられるって。ヴァリエール家にとって恥ずかしくない娘になれるって信じてたの。」 ルイズは何かに耐えるように上を向いた。 「でも・・・だめだったッ・・・!今の今まで、一度も期待に答えられたことなんかなかった・・・。いつの日か・・・いつの日か・・・ずっとそう思い続けてきたけど・・・」 康一は躊躇いがちに言った。 「でも・・・ぼくの召還は成功したんだろ?」 「そうね。呼んだのがあんたみたいな平民で、みんなには馬鹿にされたけど、あれが初めての成功といっていいわ。」 ルイズは、吐き捨てるようにハッと笑った。 「だから、ちょっと夢みちゃったのよ・・・。一度魔法が成功したから、これからは他の魔法も使えるようになるんじゃないかって。わたしも・・・これからは貴族として胸を晴れるんじゃないかって・・・。でも、その結果がこれよ・・・。」 『ルイズは焦っている。』康一はシエスタが言った言葉の意味がようやく分かった気がした。 「で、でもさ!これからもっとがんばったら、いつかきっと・・・」 「知ったような口聞かないでよっ!」 ルイズが康一につかみかかった。両手で襟元を握りしめる。康一の目の前で瞳から涙がこぼれた。 「わたしだってがんばってきたわ!だれよりも勉強したわ!だれよりも魔法を練習したわ!座学だって、作法だって、誰にも負けない!でも・・・」 襟を握り締める手が緩んだ。その場にぺたんと座り込む。 「でも、魔法だけは・・・貴族として絶対に必要な魔法だけはどんなにがんばっても使えなかった・・・。だから私はゼロのルイズなのよ。どんなにがんばっても、永遠に貴族になれない。ゼロのまんまなんだわ・・・。」 ルイズは血に染まった右手を胸で抱きしめた。煤まみれの床に涙が落ちた。 ずっと爪先立ちをしていたんだ。と康一は思った。 ルイズはずっと強いふりをしていたんだ。自分の弱さを誰にも悟られないように。 何より、ぼろぼろな自分に、まだがんばれるんだと信じさせるために。 康一は初めて、彼女の力になってあげたい。と思った。 でもどんなに頭の中を探しても、かけてあげられる言葉を見つけられなかった。 だから代わりに、康一は『見せる』ことにした。 「『エコーズ』・・・」 「え・・・?」 ルイズは煤と涙でぐちゃぐちゃになった顔をあげた。 「『エコーズ』っていうんだ。ぼくのスタンド。」 康一は「ACT1!」と叫んだ。康一の横に、突然白い生き物が現れた。 ルイズはこんなでたらめな生き物をみたことがなかった。 なんと形容したらいいのか、兵士が被っているような兜に小さな手と長いしっぽをくっつけたように見える。兜の下に目らしいものとくちばしがちょこんと覗いている。 その不思議な生き物は、康一の手からハンカチを掴み取ると、呆然と座り込むルイズの膝の上にふわりと飛んできた。 「なに・・・これ・・・」 「『エコーズACT1』だよ。ぼくの『スタンド』」 「でも、前に見たのと全然違うわ!」 「あれはACT3。ACT1はエコーズの一番進化前ってことになるかな。」 奇妙な化け物が目の前にいるのに、なぜかルイズは怖いと思わなかった。 ACT1が小さな手に持ったハンカチで、涙に濡れたルイズの顔を拭く。 そして小さな声で「ギャアース!」と鳴いた。 「ふふっ・・・」 なぜだろう。ルイズの目にはこの不恰好な生き物がひどくユーモラスで、可愛く見えてきた。 ルイズは『ACT1』をぎゅっと抱きしめた。 冷たいようで暖かい、堅いようで柔らかい。不思議な抱き心地だと思った。 「ぼくはさ、つい2年まで何のとりえもない・・・そうだな、ただの『平民』だったんだよ。でも、ある事件がきっかけで急に『スタンド』って力を得たんだ。」 だからさ・・・。康一はしゃがみこんだ。 「ルイズにだって、いつか『きっかけ』があるかもしれない。誰にもその『運命』がいつ来るかなんてことは分からない。まだ、諦めるのは早いんじゃないかな。」 といってルイズの目を覗き込んだ。 「それに『メイジを知るには使い魔を見よ』なんだろ?こんな面白い使い魔を持ってるメイジなんて、世界中で君だけだと思うんだけどなァ~。」 康一は大仰に手を広げて見せた。 ルイズはようやく、「馬鹿犬のくせに・・・」といって笑った。 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1069.html
『参ったねえ、こりゃ実に参った』 手に握り締めた知恵ある剣、デルフリンガーが何度目とも知れぬ愚痴を漏らす。 ここはハルケギニアと呼ばれる世界。 トリステイン魔法学院に在学する学生達に、遺跡調査の依頼が舞い込んで来た。 それ自体は、決して珍しい話では無い。 魔法学院に通うメイジ達とは例外なく貴族の家系であり、彼らはいざともなれば習得した魔法を駆使して、他国との戦争の為に激しい戦場に立たねばならない。 学問や魔法の研究、そして武者修行の為に、魔法学院の学生達は日々の授業以外にも命の危険を伴う冒険に挑む必要があるのだ。 今回もそうした――危険ではある物の、ありふれた冒険の一つのはずだった。 『よお、これからどうする。先に進んじまうか、連中を探すか、どっちだい』 遺跡を守護するガーディアンとの戦いに気を取られ、仕掛けられていたトラップを見抜けなかったのは自分のミスだった。結果として、一緒に遺跡までやって来た仲間達と離れ離れになってしまい、今この場にいるのは自分と、そしてデルフリンガーの一人と一本。 一刻も早く仲間達と合流し、任務を終えてこの遺跡を脱出する。 果たさねばならない目的の数はたった3つ。口で言うのは簡単だが、かなり困難な話である。 今、自分は何処にいるのか?仲間達の位置は?遺跡を守るガーディアンやトラップの存在は? 目的に対して問題は山積み。 もし一人でこの遺跡に訪れていたとしたら、気にする事は無かっただろう。 だが、仲間達を放っておくわけにはいかない。彼らは、孤独だった自分に出来た初めての友達。 死と隣り合わせの戦場でも、笑って肩を並べてくれる、かけがえの無い人達。 父を殺され、母を狂わされ、自らもまたトリステイン魔法学院での過酷な任務の中で惨死することを望まれた、あの可愛そうなシャルロットは、もういないのだから。 『なあ、タバサ――』 「皆と合流する」 タバサはいつも通りのか細い声で――しかしはっきりと意思を込めて声に出した。 『んぉ?お、おう、わかった。しっかしおどれーたぜ、あんたがちゃんと返事をしてくれるなんてよぉ?』 それっきり返事は返さない。決してデルフリンガーのことが嫌いな訳では無かったが、必要の無いこと以外は、あまり喋りたくは無かった。 それは、誰に対しても変わらない、他人へのタバサの接し方。 ――しかし何故、自分はこのインテリジェンスソードを持っているのだろう? これは彼女のクラスメイト、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール―― 通称「ゼロのルイズ」の使い魔が使っている筈の剣なのに。やはりこの剣は異世界から来たというその使い魔の青年、平賀才人の手に握られているのが良く似合う。 まあ、いい。武器を失う羽目になった才人のことは気になるが、 彼やルイズの側にはタバサの頼れる親友キュルケや、少々お調子者だけど召喚魔法の技術は確かなギーシュと言った仲間達がいるはず。 自分は彼らの無事を信じて、「早くデルフリンガーを返したいなあ」と考えていればいいのだ。 『んじゃ、合流すると決めたからにゃ、どっちに行くよ?右か?左か?上かい下かい?』 「……………」 タバサは黙って歩き始める。途中途中で、魔法を使って自分が通ったというサインも残しておく。 他に良い考えがある訳じゃなかったが、向こうもこちらを探しているなら、きっと大丈夫。 例えすぐには会えなくても、互いに強く「探そう」「会いたい」という意志を持って 歩いているなら、いつかは必ず再会出来るはずなのだ。 何故なら、自分達はお互いに向かっていっているのだから――。 『……おっ。こりゃどーも、順序が逆になったみてぇだな』 デルフリンガーの言葉に、タバサもこくりと頷く。 彼女達の目の前に立ち塞がる扉は、これまで散々遺跡の中で見続けて来た石造りの物とは違う、金属とも有機物とも付かぬ物質で作られている奇妙なデザインの扉だった。 まるで扉自体が何かの生き物であるかのように、巨大で禍々しい力すら感じ取れる。 この扉を開いたが最後、何が起こるのか――そうしたイメージすら封殺してしまう程の凄味があった。 そう。間違いなく、この扉こそがこの遺跡に眠る最大の「何か」なのだろう。 『どうする、タバサ?』 「……………」 一人でこの扉を開けてしまって大丈夫なのか?出来るなら、仲間達と合流したい。 この扉の先に何があるのかわからない以上、迷いはある。 ――だが、逆に。 逆に考えるなら、今ここで自分一人で扉を開いてしまえば、皆を巻き込まなくて済むのかもしれない。 その為に例え自分が命を落としたとしても、仲間達だけは助けられるかもしれない。 今まで歩いて来た中で、別の道は無かった。後戻りか、扉を開いて先に進むか。二つに一つ。 「………開ける」 決然とした口調で、タバサは言う。デルフリンガーを鞘に収め、自分の杖と一緒に脇へ置いておく。 そして、その小さな手を目の前の扉に掛け、精一杯の力を込めて開こうとする。 ゴトリ ――扉は、あっけない程簡単に開いた。 そしてその刹那、タバサは何か目に見えぬ圧倒的な力によって、凄まじい勢いで扉の中に引き摺り込まれようとしていた。 『――タバサ!』 「…………!!」 なけなしの力を振り絞って、タバサは声を頼りにデルフリンガーを掴む。杖は、間に合わない。 そして一人と一本は、扉の中へと吸い込まれて行く。 やがて意識を失うその直前、タバサは確かに誰かの声を聞いた気がした。 「――大迷宮へ……そして君の試練へ……ようこそ……――」 ゼロの奇妙な使い魔「タバサの大冒険」 To be continued… 戻る
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/310.html
日本時間で朝六時半、そのくらいの時間に自然に目を覚ます。 家族の分の朝食を作り、簡単な家事をするためにはこの時間が一番いいからだ。 一応セットしてあるがあまりお世話にならない目覚まし時計を止めようとして―――思い出した。 死んだこと、生き返ったかもしれないこと、ここが異世界であること、 ―――しなくてはならないことがあること。 『それ』をするための準備をして部屋を出る。近くに人はいない。 そして一階まで降り、人を探す。 うまい具合に一人見つけ、そいつに近づく。 あと五メートルほどの所でそいつがこっちに気づいた。女だった。驚いた顔をしている。 そしてあと二メートルくらい距離を縮める、女の顔が怯えているように見える。 「おはよう。イキナリですまないが洗濯の道具は何処にあるか教えてもらえるか?」 これ以上怯えさせないため、形兆はなるべく爽やかに挨拶をした。 「こちらにある道具なら自由使ってかまわないと思います」 「ありがとう。助かったよ」 「では、私はこれで」 そういって黒髪のメイド、シエスタは去っていく。 簡単な自己紹介で自分が使い魔であることを見抜かれた。 見抜かれたというよりは他に考えられなかっただけなのだろうが、そんなことはそうでもいい。 とにかくこれで洗濯ができる。形兆にあるのはそれだけだった。 シエスタに教えてもらった水汲み場に行く。 ここで洗濯をすれば良いと言われたからだ。 まず形兆は持ってきたタライに水をいれる。 次に洗濯板の片方を浸け、もう片方をおなかで固定するッ!これで板がぐらつくことはもう無いッ! 濡らした衣類を板の上に広げてッ、両手の手のひらの手首に近いところを使いッ!揉む様に洗うッ! コツは肩の力を抜き手首をなるべく軟らかく動かすことッ! そして何よりも重要なのはッ!何よりも重要なのは『汚れを落とすッ!』という強い意志をもつことッ! 億泰が服に付けたしょうゆとかのシミをよくこんな風に落としてやったな、 そんな事を思い出しながら時間は過ぎてゆく。 洗濯を終え清々しい気分で部屋に戻った形兆を出迎えたのは主人の怒りだった。 起きたばかりなのかまだ寝間着のままルイズは自分の使い魔を怒鳴りつける。 「どこに行ってたのよ!」 「水汲み場だ」 「何でそんなところに行ったのよ!」 「洗濯をしろ、といったのはそっちだが?」 「う……で、でも何で私を起こさないのよ!」 形兆に非は無い、それを知ったルイズは別のところに矛先を向けた。 「起こせ、とは言われてなかったぞ?」 「そうだけど……えーと、えーと、と、とにかく謝りなさい!」 わざわざ怒る理由を探した割には無茶な怒り方だった。 起きた時姿が見えなかったのがそんなに不安だったのだろうか。 別に形兆は悪くないのだから謝る必要は無いのだが、このままだとどんなことになるか分からない。 「謝らないとご飯抜きよ!」 謝る理由も意味もないのに謝れと言われ形兆にも怒りがでてきた…………だがしかしッ! (この場所であってはならないのは…『精神力』の消耗だ…くだらないストレス! それに伴う『体力』へのダメージ…!! おれはこの『異世界』で!!『やるべき目的』(帰る方法を探すこと)があるッ! 必ずやり遂げてやる…そのためには…!くだらない消耗があってはならないッ! いや…逆にもっと強くなってやるッ!) 「すまなかった。次から気をつける」 腰をキッチリ四十五度曲げ、謝った。 自分の使い魔がアッサリと謝ったことにルイズは驚く。 自分でもこれは理不尽なことだと薄々は思っていたのだが、主人としてのプライドがルイズを意固地にさせていた。 『形兆は謝らない』……『自分も後には引けない』つまり、堂々巡りの形になるな… ルイズはそう考えていた。 だが余計な消耗を嫌った形兆の謝罪によってそうはならなかった。 この話題を蒸し返されたら、また面倒なことになる。そう判断したルイズは次の命令をした。 「早く服を着せなさい」 「それも使い魔の仕事なのか?」 「そうよ。貴族は目の前に従者がいる時、自分で服を着たりしないのよ」 「そうか……」 正直言ってやりたくないことだったが、文句を言っても余計な消耗をするだけなのでさっさと服を着せた。 ルイズに服を着せ、二人で部屋を出ると、廊下にあるドアの一つから赤い髪の女が出てきた。 「おはよう、ルイズ」 「おはよう、キュルケ」 相手の名前以外は同じことを言っているのだが ルイズの方は何故だか分からないが不機嫌そうな、 キュルケとか言う女の方はお気に入りのおもちゃを見つけて、喜びを隠し切れない子供みたいな言い方だった。 「それがあなたの使い魔?」 「そうよ」 「へ~~~ぇ」 「何よ」 「ほんとに平民を使い魔にしたんだな~~~って関心してたのよ。流石は『ゼロのルイズ』ね」 「うるさいわね」 形兆はこの一言で二人の大体の関係を把握し、なるべく関らないことに決めた。 「そうそう私の使い魔をよく見せてなかったわね。来なさい、フレイム」 キュルケが自分の使い魔を呼ぶ。 そして現れたのは、赤くて大きい爬虫類だった。 「火トカゲよ。サラマンダーとも言うわね」 勝ち誇った声でサラマンダーを見せてくる。 形兆は火トカゲだとどこかの博士からもらえる三匹の内の一匹のイメージがあったため、 『こいつの種族はサラマンダー』と覚えた。ちなみに彼は聖剣の伝説のゲームはやっていなかった。 そしてキュルケは使い魔の自慢話を始める。 内容は尻尾の炎の事やそこから推測したサラマンダーの出身地、 それ(出身地)がブランドものであること、 好事家に見せたら値段なんかつかない事など、形兆にはよく分からないことを話し始めた。 分からないから適当に相槌を打っていれば良かったのだが 形兆はさっき関らないことを決めていたので何も言わなかった。 だから適当に聞き流してさっさと去ってしまえばそれで良かったのだが、 ルイズはそれをしなかった。つまり聞き流さなかったのだ。 それでもルイズは何も言い返さない、 そしてキュルケの話が終わり、キュルケがこの場を去った後に、 「なんなのよあの女はッ!」 盛大に怒りを音に変換した。 「まあそう大声を出すな、そのうちお前にも運が巡ってくるさ」 形兆がフォローをいれようとしても、 「あんたが原因でしょうがっ!」 やはり怒鳴られた。 「何であの女がサラマンダーで私はあんたなのよ!」 「それをおれに言われてもな」 「あ~~~くやし~~~」 「そういえば『ゼロのルイズ』ってのは何なんだ?」 これ以上ルイズの恨み言を聞く前に何とか話題を変えようといった言葉だが、これが良くない結果を生んだ。 「うるさ~~~~~いッ!」 火に油を注いでしまったのだ。 しばらくしてルイズの怒りがおさまったので、二人とも一階にある食堂に移動する。 食堂の中には三桁くらい座れそうなテーブルが三つ並んでいて、結構な人数がもう食事をしていた。 右のテーブルには茶色のマントの生徒、真ん中がルイズと同じ黒、そして左が紫である。 形兆はふと思ったことを聞く。 「マントの色は学年で決まっているのか?」 「そうよ、茶色が一年生で紫が三年生」 「黒が二年か」 「ええ、そうよ」 そしてルイズは立ち止まる。 つられて形兆も立ち止まり、 「早く椅子を引きなさいよ、気の利かない使い魔ね」 無言で椅子を引き、形兆も座ろうとして――― 「あんたは下よ」 と、ルイズに言われた。 下を見るとそこにあったのは皿に入った明らかに粗末なスープとパンだった。 「感謝しなさい。使い魔は外で食べるのに私のおかげで中で食べれるんだから」 形兆はプッツンしそうになったが、プッツンしても状況は何も変わらない、 それどころか悪くなるだろうことを考え、自分を抑えた。 いっそ脱走しようかとも考えたが、まだ情報が少ないためそれすら不可能と判断し、 情報を集めたらさっさと逃げること、後で食べられそうなキノコを探すことを決め、形だけの感謝を述べた。 To Be Continued ↓↓
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/247.html
几帳面な性格をしているために、先に聞いてきた向こうの質問に答えた形兆だったが、 こっちが答えたのだからあっちの方も答えるだろう。という彼の期待はあっさり破られた。 「ニジムラ ケイチョウ? 変な名前」 そう言ってはげ頭の中年の男の方に振り向き、何か話し始めた。 召喚のやり直しやらこれは神聖な儀式であるのでそれは出来ないなど、よく分からない事を話している。 まだ少し混乱している頭で自分はどうなっているのか、お前も自分の名前くらい言え、 などと言ってみたが無視された。 それにさっきから周りの奴らの笑い声が聞こえてくる。 どうなっているのか分からなくなり頭を抱える形兆だったが、そこであることに気づいた。 自分は生きている。 確かに自分はあの時死んだはずだ。それは確かなことだった。 だが自分は今生きている。これも確かなことである。 自分が生きているのか分からない、こんな状況は初めてだ。 「バッド・カンパニー!」 警戒してスタンドを出そうとする、だが何も起こらない。 自慢の軍隊が出て来ないのだ。アパッチや戦車はおろか、歩兵の一人も出て来ない。 やはり自分は死んだのだろうか?そうするとここは地獄か?だが地獄にしては綺麗な所だ。 不審に思いさっきよりも目を凝らして周りを見渡し事態を把握しようとする。が、 「あの平民なにを叫んだんだ?」 「イカレてるんじゃあないか?」 「ゼロのルイズの使い魔だしな」 不審に思われているのは自分だった。 周りを観察しながらこれがどういうことなのか考えているうちに 自分名前を聞いてきた桃色の髪の女がこっちにやってきた。 「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」 そういって手に持っていた杖を振る。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 「それがお前の名前か?」 「五つの力を司るペンタゴン」 「ペンタゴン?アメリカ国防総省のことか?」 「この者に祝福を与え」 「祝福?ありがとう、と言えばいいのか?」 「我の使い魔となせ」 「使い魔?魔法使いみたいなことを言うな?」 几帳面にルイズの言葉に反応を示す形兆。偶然だが半分は正解を言い当てている。 次は何を言われるんだ?そもそも何を言っているんだ? 少々混乱しながらも形兆がそんなことを考えていた次の瞬間! キスをされた。 完全に不意打ちをくらった形兆は驚き、ルイズから顔を離しさらに距離をとって身構える。 「何のつもりだ?ルイズ」 当然の疑問。だが、 「呼び捨てにするんじゃないわよ!ご主人様でしょ!」 (どうしてコイツはおれの話を全く聞かないんだ?そもそもご主人様って何だ?) 几帳面な分突発的な出来事に強くない形兆は混乱の度合いを強くする。 そして形兆が次のことを考えようとして、急にきた体の熱さに邪魔された。 「なにィ~~~スタンド攻撃かッ!?」 「騒がないで、『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ」 「『使い魔のルーン』だと!?」 それで自分に何をしたのかを聞き出そうとした時、熱は無くなった。 (一体何なんだ?分からない事が多すぎるぞッ!?) 混乱だけが強くなっていく形兆に追い討ちを掛けたのは責任者らしき中年の男だった。 「フーム……珍しいルーンだな。 よしじゃあ今日は解散!みんな良くやった!」 そういってその男は『飛び』去っていく。周りにいた者もみな飛んで城のような建物の方へ行く。 それをみて形兆は 「一体どういうことだ?」 としか言えなかった。 もう何がなんだか分からなかったが、 あの中年の男の態度や使い魔という単語から自分に危害を加えることは無いだろうと判断し、 何故か未だに残っている自分の唇を奪った女に話しかけた。 説明しろ。と To Be Continued ↓↓